組織の統合と自動化によってもたらされる、5つの戦略的ビジネスインパクト

ガートナー社で24年間勤務し、長年 統合と自動化の業界で働いてきた者として自信を持って言えることは、すべての企業で統合と自動化の利用を正当化する「唯一の最善策」というものはないということです。

しかし、統合と自動化の技術を効果的に活用することで、業界、地域、規模を問わず、多くの企業が同様のメリットを得ることができると確信しています。そのメリットとしては、例えばわかりやすいコスト削減などもあれば、あまり注目はされていないけれども重要であるものもあります。

統合と自動化によって得られる最大のメリットを理解し、この種のテクノロジーのビジネスケースを推進するために、私は「Coffee with Massimo Webinar(英語)」シリーズにて、統合・自動化から得られる5つの代表的な価値提案について説明しました。

以下では、私が紹介した各メリットについて詳しくお話しします。

1. コスト削減と業務の効率化

統合と自動化は、多くのビジネスプロセスを合理化するために使用され、より速くより多くのヒューマンエラーを軽減し、最終的なゴールとしては、手動で行われるデータ入力の業務量を最小限に抑えることができます。

これにより、ビジネスにおけるさまざまなコスト削減が可能になります。例えば、請求書処理の場合、従業員がビジネスアプリケーション間で請求書データを再入力する必要がないため、その分の人件費の節約につながります。さらには、請求書の手動データ入力エラーを解決するための、間接的なコストも削減することができるでしょう。

2. ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上  

エンドユーザー(顧客、従業員、ビジネスパートナー、学生、一般市民など)は、さまざまな異なるサービスやシステムを利用する上で、ユーザビリティーの高いUXを必要としています。これはどういうことかと言うと、サービスやシステムを利用する際に、複数の異なる(一貫性のない)ユーザーインターフェース(UI)でバラバラに操作する必要がなくなるためには、単一性・一貫性・統一性のある、会話型で直感的なUXがキーとなるということです。

このようなUXニーズをあらゆる種類のシナリオで実現するには、やはり統合と自動化の技術が重要となります。

以下は、統合と自動化技術により、単一で直感的な会話型UXを実現できることを示す図 となります。

A visual of how integration and automation technology can power a single, intuitive, conversational UX

わかりやすく、従業員体験(EX)での例で考えてみましょう。

従業員はさまざまなアプリケーションにアクセスしますが、ユーザーエクスペリエンスが分断されているため、混乱や重複作業、ニューマンエラーが発生しています。さらに、従業員が複数のアプリケーションを使用するアクションを実行しようとすると、アプリケーション間を常に切り替える必要があり、さまざまな「画面」でデータをコピー&ペーストするなんてことも起こるため、長期的には非常に時間がかかります。

例えばこれを、統合と自動化技術を用いることにより、SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスコミュニケーションプラットフォームを、裏でバックエンドアプリケーションと接続し、すべての業務がSlackやTeams操作のみで行えるとどうでしょう。従業員は、ビジネスコミュニケーションプラットフォームの会話型のインターフェース(チャットボット)を通じて、様々な社内アプリケーションを開くことなく必要なデータや機能にアクセスし、業務をこなすことができるようになります。

3. スピーディーなビジネス変革の実現を可能にする

パンデミックにより、企業は程度の差こそあれ、業務の調整を余儀なくされています。業務の一部をデジタル専用にシフトしたところもあれば、ビジネスモデルの全面的な変更を余儀なくされたところもあります。ここで重要なのは、組織はビジネスプロセスを調整することで、周囲のビジネス環境の変化に迅速かつスマートに適応する必要があるということです。

幸いなことに、優れた統合と自動化のテクノロジーにより、組織内のシステム統合とワークフローの自動化プロセスをスピーディーに行うことができるため、ビジネス変革に適応できます。(Worktatoの場合は、数分以内に構築や再設計をすることができるのがポイント!)

注目すべき事実:ウェビナーでアンケートを行ったところ、参加者全体の約33%が、統合と自動化からもたらされる最も重要なインパクトとして「迅速なビジネス変革の実現」に投票しました。この結果は、私たちがまだ激動のビジネス環境の中で生きていることを考えると、驚かない結果でした。

4. 経営判断のための知見(インサイト)を得ることと、正確な状況認識が可能になる

過去のデータを把握することも重要ですが、さまざまなソースからリアルタイムに得られる知見を組み合わせてビジネスリーダーや意思決定者に提供すること(つまり、ビジネスで何が起こっているかをリアルタイムに理解する「状況認識」を持つこと)は、データドリブンでタイムリーかつビジネスに不可欠な経営判断を下すために最も重要なことなのです。

例えば、製品を製造するためにサプライヤーの原材料に依存しているとします。リアルタイムのサプライチェーンダッシュボードを使えば、サプライヤーの納品が遅れていることを即座に知ることができます。これを受けて、他のサプライヤーを探す(あるいは、この混乱を最小限に抑えるための他の行動をとる)ために迅速に行動することができます。

統合と自動化のテクノロジーは、さまざまなソースからデータを抽出し、明確に定義されたフォーマットに変換し、ストリーム分析プラットフォームに供給することで、より精度の高いリアルタイムの知見(インサイト)を得ることが可能になります。

そして、ストリーム分析プラットフォームは、各ビジネスユーザーに適したビジネスダッシュボードを生成することもできます。また、ストリーミング分析プラットフォーム上に自動アラートを構築し、特定の注意が必要なタイムセンシティブなイベント(クレジットカードの不正使用が検出された場合など)が発生すると、直ちに適切な担当者へ通知することなども可能になります。

A visual of how a streaming analytics platform can capture events and then generate business dashboards to help facilitate real-time decision making

5. イノベーションによる他社との差別化の構築

組織が他社を凌駕するのは、どんないいツールを使っているかということよりも(誰でも同じベンダーから購入できるため)、そのツールがどのように連携・活用されているか、によってもたらされるものです。

これも、統合と自動化の技術により、ビジネスアプリケーション、モバイルアプリケーション、IoT対応デバイス、ビジネスパートナーが提供するサービスを、クリエイティブかつユニークな方法で組み合わせることができ、業務の変革と今後数年間の競争優位の獲得につなげることができるのです。

Workatoはこのことを踏まえ、リードナーチャリングのワークフローを変革しました。以下の図がその仕組みです。

A step-by-step visual of Workato's very own lead nurturing workflow automation
  1.  見込み客が競合他社のページやG2(サードパーティのソフトウェアレビューサイト)のWorkatoのページを見ると、自動化が発動する
  2. Workbot をカスタマイズした Rev Bot が、企業の CRM とマーケティングオートメーションのプラットフォームからリードの情報を収集し、ZoomInfo のようなツールを使ってリードを追加データによりエンリッチ化します。
  3. Rev Botは、Workatoのビジネスコミュニケーションプラットフォームで指定された営業担当者とリードを共有し、担当者はOutreachの特定のシーケンスにリードを追加し、そのアカウントにGoogle広告を起動。Sendoso経由でのギフト送付機能も連動しており、 すべてボタンをクリックするだけで実行可能です。

統合と自動化が、効率化のメリット以上にビジネス価値を生んだ例を挙げれば、きりがないほどです。そのユースケースは多岐に渡りますが、どの組織でもアプローチは共通しています。統合と自動化を採用することは、流行りに乗った短期的・部分的なの戦術という位置付けではなく、全社的な組織とテクノロジーの変革に向けた戦略的投資として捉えているのです。

さて、次はあなたの番です。上記の 5 種類のビジネスインパクトを念頭に置きながら、組織全体で統合と自動化への戦略的投資を検討してみてはいかがでしょうか。


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