ビジネスには、常に削減できる時間と、より有効に活用できるコストがあります。仕組みがよりスムーズかつ効率的に機能すればするほど、ビジネスはさらに大きく前進できます。
ビジネスリーダーは、組織という仕組みを構成する歯車が、適切な人材を適切なポジションに配置することだけではないと理解しています。今やこれまで以上に、テクノロジーが日々の業務において極めて重要な役割を果たしています。
適切なデジタルツールは、製品やサービスを支える人材を単にサポートするだけではありません。デジタルツール自体が新たな能力を提供することで、人々はより多くのことを実現でき、企業もより高い成果を上げられるようになります。
こうした中、APIは組織のオペレーションを支える重要な要素として広く活用されるようになりました。
組織の成長にとってAPIがどれほど重要なのかをより深く理解するために、まずはAPIが持つ重要な特徴の一つに注目してみましょう。それは、APIは比較的容易に作成・管理できるという点です。
この特性はWeb全体で幅広く活用されています。成功するAPIを開発しようとする個人開発者から、外部APIを通じて自社プラットフォームへのアクセスを開放し、リーチの拡大を図るTwitterのような大企業まで、その活用方法は多岐にわたります。
この記事では、組織がAPIを構築すべき理由、API開発に利用できるツール、そしてAPI開発のベストプラクティスについて解説します。
その前に、まずはAPIとは何かを定義するところから始めましょう。
「API(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、2つのシステム間でデータや機能をやり取りするための一連の命令や関数です。」
APIとは?
まず、APIについて改めて確認したい方のために、APIとは何かだけでなく、どのように機能するのかを簡単に振り返ります。
API(Application Programming Interface:アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、2つのシステム間でデータや機能をやり取りするための一連の命令や関数です。
まず、データソースに対して呼び出しが行われます。データソースとは、アプリケーションやユーザーが必要とする情報を格納するデータベースのようなものと考えると分かりやすいでしょう。
この呼び出しはAPIを通じて行われます。電話をかける際にキーパッドがインターフェースとして機能するのと同じように、APIは、あるサービスが別のサービスのデータへアクセスするためのインターフェースとして機能します。
また、電話番号が通話における通信条件、つまり「誰に電話をかけるのか」を定義する形式として機能するのと同様に、APIも特定の形式を使用してシステム間で行われるリクエストの種類を指定します。この場合、リクエストは情報の取得(Get)、送信(Post)、更新(Put)、または削除(Delete)のいずれかです。
リクエストが処理されると、APIは正常に実行されたことを示すレスポンスを返します。
APIには、主に次の2種類があります。
- REST(Representational State Transfer)API
- SOAP(Simple Object Access Protocol)API
APIがどのように機能するかが理解しやすいのと同様に、なぜすべての企業がAPIを活用すべきなのか、その理由も明確です。
APIを構築すべき3つの理由
APIがビジネスのあり方を変革している様子を見ると、ソーシャルメディアが人と人、そして人と世界とのつながり方を大きく変えた時代を思い起こす人もいるかもしれません。
ソーシャルメディアの仕組みはシンプルでした。簡単につながりを作ることです。たとえばFacebookでは、ユーザーAがアカウントを作成して2人の友人とつながり、その2人がそれぞれ4人の友人とつながっていたとします。すると、わずか数分、ほとんど手間をかけることなく、ユーザーAは10人とのつながりを持つことになります。
同じように、APIも簡単につながりを生み出します。ただし、この場合につなぐのは人ではなく、アプリケーションやサービスです。
たとえば、地域の書店がWebサイト上で自社の在庫を閲覧できるようにしているとします。さらにAPIを活用すれば、ユーザーはその書店に希望する書籍の在庫がない場合でも、書店が発注できる倉庫の在庫まで閲覧できるようになります。
この例では、APIが顧客と商品をつなぎ、その結果として地域の書店に利益をもたらしています。
APIを活用するメリットがまったくないビジネスを想像するのは難しいでしょう。ここからは、APIを構築すべき主な3つの理由を見ていきます。
関連記事:API統合が重要な理由
1. APIによってプラットフォームの利用を促進できる
Webユーザーは、直感的に使えるだけでなく、自分のニーズや好みを先回りして理解してくれるサービスをますます求めるようになっています。
こうしたユーザーと、それぞれが日常的に利用するさまざまなアプリケーションを自社製品につなぎ留めるには、プラットフォーム上に充実したAPIエコシステムを構築することが不可欠です。それによってサービスの利用頻度を高め、ユーザーが継続して利用したくなる、より「定着性の高い」サービスを実現できます。
例:
Evernoteは、ノートの作成、カスタマイズ、ラベル付け、検索、送信ができるクラウドベースのノート作成・整理アプリです。すべてのノートを適切に整理し、一つのアプリから簡単にアクセスできるため、多くのユーザーにとって便利なサービスです。
しかし、多くのユーザーは複数のアプリケーションを利用しており、そのデータが一つのサービス内だけで完結することはありません。APIを利用すれば、ユーザーは特定のノートをGmail、Slack、Microsoft Teamsなどのアカウントを通じて共有できます。この機能によって、ユーザーが別のサービスへ離脱するのを防ぎ、Evernoteを継続して利用してもらうことができます。
「APIをビジネスアプリケーションや業務プロセスに組み込むことで、部門を横断した効率化と接続性を実現できます。」
2. APIで人をつなぎ、ビジネスプロセスを効率化できる
APIをビジネスアプリケーションや業務プロセスに組み込むことで、部門を横断した効率化と接続性を実現できます。そして、それは顧客に対するより良いソリューションの提供にもつながります。
例:
たとえば、自社のヘルプデスクがServiceNowを通じてチケットを受け取った場合、そのチケットの発生元や緊急度に応じて、組織内の適切な担当者へ自動的に振り分けることができます。
見込み顧客からのチケットであれば、APIを通じて営業部門の主要担当者とのコミュニケーションを促進できます。また、即時対応が必要なチケットであれば、Slackなどのプラットフォームを通じて、そのリクエストを優先的に処理することも可能です。
3. APIでテクノロジーに精通したユーザーのニーズに応え、収益を拡大できる
ユーザーに支持される製品を構築できたら、その熱意を活かし、APIを通じてプレミアム機能を提供することで収益化につなげることができます。
例:
クラウドベースのSaaSであるCanvaは、ソーシャルメディア広告から履歴書まで、視覚的に優れたさまざまなコンテンツを作成・公開できるグラフィックデザインプラットフォームです。
Canvaの無料版でも豊富な機能を利用でき、その中では多くのアプリがAPIを介して接続されています。たとえば、ユーザーは作成したコンテンツをInstagramやMailChimpへ簡単に投稿できます。
一方、高度な写真編集ツールなど、Canvaのプレミアム機能は有料で提供されています。多くのCanvaユーザーは、このプラットフォームを使ってプロフェッショナルレベルのデザインを作成したいと考えており、それを可能にするAPI機能に対して料金を支払うことになります。
関連記事:API管理を導入すべき4つの理由
API開発に利用できるツール一覧
APIがデジタルトランスフォーメーションの重要な要素として急速に普及するにつれて、APIの作成、監視、テストに利用できるツールも数多く登場しています。以下のサービスやプラットフォームは、さまざまなAPI開発機能とツールを提供しており、ここでは3つのカテゴリーに分けて紹介します。
ノーコード開発ツール:
- Sheetsu
- Bubble
ローコード開発ツール:
- Restdb.io
- Postman
APIテストサービス:
- BlazeMeter
- Loader
優れた開発は、確かな計画から始まります。続いて、API開発におけるベストプラクティスを見ていきましょう。
「APIを利用することにはさまざまなメリットがありますが、API開発にはいくつかの課題やデメリットも存在します。」
API開発における課題
APIを利用することにはさまざまなメリットがありますが、API開発にはいくつかの課題やデメリットも存在します。ここでは、API開発に関連する主な課題を紹介します。
1. バージョン管理
変化するユーザーニーズに対応し、業界内での競争力を維持するためには、新機能の追加や新たなアプリケーションとの連携が重要です。しかし、それ以上に重要なのが、適切なAPIバージョン管理戦略を確立することです。これにより、開発者とユーザーの双方にスムーズな利用体験を提供できます。
不適切なAPIバージョン管理戦略は、後方互換性や既存の統合を損ない、破壊的変更を引き起こすだけでなく、ユーザーにとってバージョンの維持管理を複雑にする可能性があります。
また、ユーザーがアクセスしているAPIのバージョンを明確に把握できることも重要です。それによって、利用可能な機能と制約を正しく理解できます。
2. セキュリティ
APIはデータや情報を外部に公開するため、特にインターネット上で一般公開されている場合には、不正アクセスやデータ侵害から保護することが重要です。
その方法の一つが、スロットリングとレート制限の実装です。これは、クライアントが実行できるリクエスト数を制限する仕組みです。
また、セキュリティ監査の実施や検証システムの導入も有効です。SQLインジェクション対策、APIキーやOAuth2などの認証メカニズム、HTTPSによるデータ暗号化などを実装することで、中間者攻撃をはじめとするセキュリティ脅威を防ぐことができます。
3. APIオーケストレーション
多数のAPIエンドポイントを大規模にデプロイし、管理することは非常に複雑です。そのため、複数のAPIにまたがるリクエストや呼び出しを管理する、効果的なAPIオーケストレーション戦略が役立ちます。
開発者は通常、統合や自動化のニーズに応じて、APIゲートウェイ、マイクロサービスアーキテクチャ、ミドルウェア、またはWorkatoのようなワークフロー自動化ツールを利用します。
4. API統合
APIの本来の目的は、システム、サービス、データベース間の通信とデータ共有を可能にすることです。しかし、それぞれのシステムやサービスには独自のデータ形式やプロトコルが存在するため、統合のプロセスは複雑になりがちです。
ただし、この問題は、サービス開発時にAPIファーストのアプローチを採用することで軽減できます。また、自動テストフレームワークを用いてエンドポイントを検証し、ドキュメントを最新の状態に保ち、REST、SOAP、GraphQLなどの標準プロトコルを採用することも有効です。
5. APIドキュメント
APIは、開発者に利用してもらうために構築するものです。そのため、ユーザーがAPIを効果的に活用できるよう、使いやすく、詳細で明確なドキュメントを用意する必要があります。
これは、APIを適切に利用できる状態に保ち、優れた開発者体験を提供するためにも重要です。クイックスタートガイド、SDK、チュートリアル、サンドボックスなどをドキュメント内に用意することで、ユーザーは実際にエンドポイントを試しながらAPIを理解できます。
API構築のベストプラクティス
API開発において特に重要なポイントを以下に紹介します。
1. 認証
安全なAPIを構築するには、API呼び出しを受け取る側のデータを保護し、APIへのアクセス権限を管理し、転送されるデータ量を制限するための認証・認可プロトコルが必要です。一般的な認証方式には、HTTP Basic認証、APIキー、OAuthの3つがあります。
「APIドキュメントはリファレンスマニュアルとして機能し、APIの関数、クラス、戻り値の型、引数などを記載する必要があります。」
2. ドキュメント
APIを利用または連携しようとする開発者に対して、明確かつ包括的な手順を提供することが重要です。APIドキュメントはリファレンスマニュアルとして機能し、APIの関数、クラス、戻り値の型、引数などを記載する必要があります。
3. スピードの重要性
SOAPではなくREST APIを利用する大きなメリットの一つは、その処理速度です。たとえば、リアルタイムの株式市場データを表示するダッシュボードなど、APIによっては他のAPIよりもはるかに高速なレスポンスが求められます。APIを構築する前に必要な応答速度を把握しておくことで、どの種類のAPIを開発すべきかを判断できます。
4. レート制限
ユーザーが一定期間内にAPIへ実行できる呼び出し、つまり「リクエスト」の数に上限を設けることで、想定を超えるアクセスによってサーバーが混雑したり、アプリケーションに過度な負荷がかかったりして、パフォーマンスが低下することを防げます。期間は秒、分、日、週、月など、用途に応じて設定できます。
5. アナリティクス
APIの機能としてデータロギングを組み込むことで、実行されたリクエスト数からAPIの利用状況を把握したり、失敗したレスポンスから修正が必要な箇所を特定したりできます。API開発にパフォーマンスデータを活用すればするほど、より優れたAPIを構築できるようになります。
6. テスト
APIを公開する前の重要なステップが、信頼性、パフォーマンス、セキュリティのテストです。開発者は独自のコードを使ってAPIをテストできるほか、前のセクションで紹介したBlazeMeterやLoaderなどのサービスを利用することもできます。
APIを使用すべきでないケース
APIには多くのメリットがありますが、統合において必ずしもAPIが最適、あるいは最も実用的な選択肢とは限らないケースもあります。
まず、アプリケーションやシステムが他のサービスと連携する必要がなく、外部とのデータ共有も必要とせず、基本的な機能だけで十分な場合や、外部呼び出しなしでデータを管理できる場合です。このようなケースでAPIを使用すると、不必要に複雑さが増してしまいます。
APIが最適な選択肢ではないケースには、次のようなものがあります。
- ヘルスケアや金融など、厳格なデータ規制が適用される業界では、データ侵害による損失が非常に大きくなる可能性があります。そのため、コンプライアンスリスクを軽減する必要がある場合には、APIの使用を避けることも検討すべきです。
- モノリシックシステムでは、各コンポーネントが密接に連携するよう設計されています。そのため、APIを導入すると複雑性が増し、柔軟性が低下するとともに、リソース使用量が増える可能性があります。このような場合は、内部関数の呼び出しやデータベースへの直接アクセスの方が適しています。
- APIにはネットワーク遅延があり、外部サービスの障害にも依存します。そのため、ゲームや取引プラットフォームなど、リアルタイム性やパフォーマンスが重視されるアプリケーションでは、ユーザー体験に影響を及ぼす可能性があります。
APIをテストする方法
APIテストとは、APIが正常に動作し、機能性、セキュリティ、信頼性、パフォーマンスの面でユーザーの期待に応えられていることを確認するプロセスです。APIのテスト方法には、ユニットテスト、統合テスト、セキュリティテスト、パフォーマンステスト、機能テストなど、さまざまな種類があります。
テストはそれ自体が非常に幅広く重要なテーマです。Workatoを使用してAPIを構築、テスト、監視する方法については、こちらの動画をご覧ください。
関連記事:APIテストを成功させるためのガイド
よくある質問
GraphQLとは何ですか?APIとどのような関係がありますか?
GraphQLはFacebookによって開発されたクエリおよびデータ操作言語で、ユーザーが必要なデータだけを指定して取得できる「宣言的データフェッチ」を可能にします。データの過剰取得や取得不足を軽減できるため、複雑なデータ構造を扱う開発者に適しています。
従来のAPIとは異なり、GraphQLは開発者が特定のニーズに応じたAPIを開発できるため、よりクライアント主導型の仕組みと考えられています。
また、これらのAPIは他のAPIやデータベースとも連携できます。フロントエンド開発者が必要なレスポンス構造を自ら定義できるため、バックエンド側の変更への依存を減らすことができます。
クラウドAPIとは何ですか?
クラウドAPIを使用すると、コンピューティングインフラやストレージリソースから監視ツールまで、さまざまなクラウドコンピューティングサービスへアクセスできます。
クラウドAPIは、クライアントサーバーモデルを通じて、クラウドサービス間、およびクラウドサービスとオンプレミスアプリケーション間でデータを転送します。認証、決済処理、データストレージなど、コア業務以外の機能に利用されることも一般的です。
クラウドAPIには、主にインフラストラクチャレベルとアプリケーションレベルの2種類があります。
クラウドAPIはどのように機能しますか?
具体的な仕組みはAPIの用途やプロトコルによって大きく異なります。ただし一般的には、クラウドとオンプレミスアプリケーションの間で、次のようにリクエストを送受信します。
- APIクライアントがリクエスト、つまりAPI呼び出しを送信します。
- エンドポイントがリクエストを受信・認証し、安全性を確認するとともに、クライアントが対象データへのアクセス権限を持っていることを確認します。
- エンドポイントが要求されたデータを返します。
クラウドAPIにはどのようなメリットがありますか?
クラウドAPIには、スケーラビリティ、コスト効率、パフォーマンスなどのメリットがあります。これは、クラウドリソースを活用し、従量課金モデルで運用できることに加え、アップデートへの対応、他のクラウドサービスとの連携、高可用性、障害発生時の高い信頼性を実現できるためです。
クラウドAPIにはどのような課題がありますか?
主な課題には、次のようなものがあります。
- クラウドAPIはネットワーク接続への依存度が高い。
- クラウドプロバイダーがコンプライアンス要件を満たす必要があるため、ガバナンスが複雑になる場合がある。
- ベンダーロックインが発生する可能性がある。
- 共有リソース、負荷の変動、ネットワーク遅延などにより、パフォーマンスにばらつきが生じる可能性がある。
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