生産性と業務効率を高めるうえで、ビジネスプロセス自動化は欠かせない取り組みになっています。反復的な作業や手作業を減らし、各部門のチームがより戦略的な業務に集中できるようにすることで、企業全体の価値向上につながるからです。
現在の調査では、2025年までに約80%の企業がインテリジェントオートメーションを導入する見込みとされています。これは、変化の激しいビジネス環境で競争力を維持するために、自動化への依存度が急速に高まっていることを示しています。
では、なぜ多くの部門が自動化を積極的に進めているのでしょうか。
また、こうした自動化は実際にどのように機能するのでしょうか。
本記事では、こうした疑問に順を追って答えながら、ビジネスプロセス自動化の基本、導入方法、メリット、注意点までをわかりやすく解説します。
ビジネスプロセス自動化とは
ビジネスプロセス自動化(BPA: Business Process Automation)とは、複雑な業務プロセスにテクノロジーを適用し、生産性向上、顧客満足度向上、運用コスト削減といった成果を生み出す取り組みを指します。複数のステップや関係者をまたぐエンドツーエンドのワークフローを自動化することで、ミスを減らし、業務効率を高め、より付加価値の高い仕事に集中できるようになります。
単純なタスク自動化が個別作業の効率化を目的とするのに対し、ビジネスプロセス自動化は、企業の成果に直結する業務全体を対象とする点が大きな違いです。
重要なプロセスを自動化することで、企業は業務の正確性、スピード、一貫性を高めることができ、最終的には持続的な成長にもつながります。
関連記事:プロセスフローとは(英語)
ビジネスプロセス自動化とビジネスプロセスマネジメントの違い
ビジネスプロセス自動化(BPA)とビジネスプロセスマネジメント(BPM)は混同されやすい概念ですが、両者は異なります。業務改善を正しく進めるためには、この違いを理解しておくことが重要です。
範囲
BPAは、特定の業務やプロセスを自動化することで、手作業を減らし、生産性を高めることを目的とします。
一方、BPMはより広い考え方で、業務プロセス全体を分析、設計、最適化し、必要に応じて自動化も取り入れながら、企業目標と整合させていくアプローチです。
目的
BPAの主な目的は、反復作業を自動化して効率を高めることです。
BPMの目的は、業務全体の有効性、効率性、柔軟性を継続的に改善することにあります。
実装方法
BPAでは、特定の手順をソフトウェアで自動化するケースが一般的です。
BPMでは、プロセスモデリング、継続的改善、モニタリングなどを含む、より包括的な取り組みが必要になります。
成果
BPAは比較的短期間で業務効率改善の効果を生みやすい一方、BPMは企業全体での意思決定やプロセス最適化に寄与する、より長期的な価値をもたらします。
ビジネスプロセス自動化の具体例
ビジネスプロセス自動化は、さまざまな部門で活用できます。代表的な例は以下の通りです。
- 財務
請求書処理や承認フローを自動化し、ミスを減らしながら支払いを迅速化する - 人事
書類提出や研修日程調整を含む従業員オンボーディングを効率化する - カスタマーサービス
チャットボットによってよくある問い合わせへの対応を自動化し、応答時間を短縮する - サプライチェーン
受発注処理や在庫管理を自動化し、適正在庫を維持する - マーケティング
メールキャンペーンを自動配信し、適切なタイミングでパーソナライズされたコンテンツを届ける - IT
ソフトウェアアップデートやセキュリティパッチ適用を自動化し、手作業や停止時間を減らす - 営業
リードスコアリングや担当者アサインを自動化し、営業活動の質とスピードを高める
ビジネスプロセス自動化はどのように機能するのか
ビジネスプロセス自動化は、大きく3つの観点で捉えることができます。
ビジネスプロセス分析
自動化を進める前に、まず社内の業務プロセスを分析し、どこに改善余地があるのかを見極める必要があります。この段階で、どのプロセスが自動化に向いているか、どこを効率化すべきかが明確になります。
インテリジェントプロセスオートメーションとデジタルプロセスオートメーション
インテリジェントプロセスオートメーション(IPA)は、自動化にAIや機械学習を組み合わせ、より高度な判断や複雑な業務への対応を可能にします。
デジタルプロセスオートメーション(DPA)は、業務をデジタル化し、自動化することで顧客体験や業務効率を改善する考え方です。
これらは、従来のBPAをさらに進化させた、より柔軟で高度な自動化の形と言えます。
ローコード開発プラットフォームの活用
ローコード開発プラットフォームを使えば、最小限のコードで自動化ワークフローを構築できます。これにより、IT部門だけでなく業務部門のユーザーも自動化に参加しやすくなり、BPAの導入スピードも高まります。
ビジネスプロセス自動化を導入する方法
ビジネスプロセス自動化を成功させるには、事前の整理が重要です。以下の観点から検討すると、導入をスムーズに進めやすくなります。
1. 自動化で解決したい課題を明確にする
まずは、何を改善したいのかを具体化します。たとえば、リードルーティングを速くしたいのであれば、応答速度やフォローアップ品質に影響する要素を明確にする必要があります。この整理が、自動化設計の出発点になります。
2. 関係する業務アプリケーションを洗い出す
自動化の中で連携するアプリケーションを把握しておくことで、必要なメンバーを集めやすくなり、統合作業の抜け漏れも防げます。
3. 時間要件を確認する
そのプロセスが、即時対応を必要とするのか、それとも多少遅れても問題ないのかを見極めます。たとえば、リードルーティングは即時性が重要ですが、月末の事務処理であれば多少柔軟性を持たせられます。
4. 業務ルールとロジックを定義する
データ検証、変換、集計など、ワークフロー内で必要となるルールや条件を整理します。これにより、選定する自動化ツールが要件を満たせるか判断しやすくなります。
5. 例外ケースを想定しておく
システム障害やデータ欠損など、想定外の事象が発生した場合にどう対応するかを事前に考えておくことで、より堅牢な自動化を設計できます。
関連記事:ビジネスプロセス統合とは(英語)
ビジネスプロセス自動化のメリット
ここからは、ビジネスプロセス自動化によって得られる主なメリットを整理します。
データサイロを解消できる
特定のアプリケーションの中にデータが閉じ込められてしまうデータサイロは、多くの問題を引き起こします。
必要なデータの存在に気づけない、同僚に依頼しないと取得できない、依頼しても時間がかかるため使う前に価値が薄れてしまう、といったことが起こります。
システム同士を統合し、データがテックスタック全体をシームレスに流れるようにすることで、こうしたサイロとその悪影響を解消できます。
業務プロセスそのものを見直せる
プロセス自動化は、単なる効率化だけでなく、業務の進め方そのものを再設計する機会をもたらします。
たとえば、営業担当者が追加提案に適した顧客を見極め、それぞれに提案資料を作成しなければならないケースを考えてみましょう。
これを人手で行う代わりに、次のような自動化を組むことができます。
- 顧客のプロダクト利用状況があらかじめ定めたしきい値を超える
- ワークフローが起動する
- プラットフォームボットが複数システムから顧客情報を収集し、テンプレート化された提案資料を自動生成する
- その資料を担当営業にSlackやMicrosoft Teamsで共有する
このように、営業担当者は探索や資料作成に追われるのではなく、提案そのものに集中できるようになります。
従業員体験が向上する
自動化されたプロセスによって、データ入力のような単調で負担の大きい作業を減らすことができます。その結果、社員はより考える余地のある、事業にとって重要な仕事に集中できるようになります。
また、適切に設計された自動化は、必要なタイミングで必要な情報を届けるため、意思決定の質も高まります。
顧客に質の高いサポートを提供できる
優れたサポート体験が、価格競争力、口コミ、収益成長に大きく影響することは、数多くの調査で示されています。そうしたサポートを実現するためにも、自動化は有効です。
たとえば、カスタマーサクセスマネージャーが、プロダクト活用が進んでいない顧客をすばやく把握し、対応できるようにするケースを考えてみましょう。
- 顧客の利用率が一定水準を下回る
- ワークフローが起動する
- プラットフォームボットが複数ソースからデータを取得し、Googleドキュメント上のアカウントヘルス360レポートを自動作成する
- そのレポートを担当カスタマーサクセスマネージャ (CSM) にビジネスコミュニケーションツール経由で共有する
これにより、CSMはより早く、より的確に対応し、顧客の活用促進につなげることができます。
関連記事:顧客対応部門がプロダクトインテリジェンスを活用する方法(英語)
ビジネスプロセス自動化の課題
ビジネスプロセス自動化には多くのメリットがありますが、進め方を誤るとプロジェクトが失敗することもあります。代表的な失敗要因は次の通りです。
- 目標が不明確
何を実現したいのかが曖昧なままだと、期待と成果がずれやすくなります。 - チェンジマネジメント不足
移行の進め方が不十分だと、社員の抵抗感や定着率の低下を招きます。 - 統合の複雑さ
既存システムとの接続が難しく、対応を誤ると業務に支障が出る可能性があります。 - テスト不足
十分な検証を行わないまま本番導入すると、想定外の問題が起きやすくなります。 - 保守を軽視している
自動化は導入して終わりではなく、継続的なメンテナンスが必要です。 - コストを過小評価している
隠れコストを含めた全体予算を見積もれていないと、途中で計画が崩れることがあります。
まとめ
ここまでで、ビジネスプロセス自動化の基本的な考え方、仕組み、導入方法、メリット、注意点を一通り把握いただけたかと思います。自動化の価値と課題の両方を理解することで、自社に合った形で効率化と変革を進めやすくなります。エンタープライズオートメーションをリードするWorkatoは、IT部門と業務部門が協力しながら自動化を進められるローコード/ノーコードプラットフォームを提供しています。Workatoなら、自動化を既存の業務フローへ自然に組み込みながら、スケーラブルかつ安全に運用できます。
