LLMが実際の業務を担える自律型エージェントへと進化する中で、課題の本質は「知能」そのものではありません。重要なのは「アクセス」です。
AIエージェントが業務価値を発揮するには、システムをまたいでツールを発見し、呼び出し、オーケストレーションできる必要があります。それも、できる限り摩擦なく実現しなければなりません。
Workatoは、この課題に対してMCP(Model Context Protocol)の採用を通じて正面から取り組んでいます。MCPは、LLMやAIエージェントが外部ツールとどのようにやり取りするかを標準化するオープンプロトコルです。
Anthropicが提案したこのMCPにより、Claude、Cursor、Windsurf、さらにはLLM APIのようなMCPクライアントは、MCPサーバーが公開するツールを統一的に発見し、呼び出せるようになります。これにより、個別のカスタム統合や専用ラッパーの開発が不要になり、開発工数を減らしながら接続性を大きく高めることができます。
Workato Enterprise MCPの全体像については、こちらの解説もぜひご覧ください。
Workatoでは、MCPがプラットフォーム全体にもたらす可能性を、主に次の領域で大きく捉えています。
APIコレクションをMCPサーバー化:作り直さずに再利用する
すでにAPI RecipeやProxyへ投資しているお客様は、それらを手直しなしでMCPサーバーへ変換できるようになります。既存の統合資産を、そのままGeniesや外部LLMエージェントから利用できる「スキル」として、標準化されたMCP形式で公開できます。
たとえば、あるお客様がSalesforceやNetSuite向けに構築済みのAPI RecipeやProxyをWorkato上で運用しているとします。これらをMCPサーバーに変換すれば、同じ機能を、MCP互換クライアントが発見し、呼び出せる形で提供できます。
たとえばClaude上で、次のように指示できます。
「顧客Xの直近5件のサポートチケットと、社内チームの最後のコメントを確認して」
このとき裏側では、エージェントがZendesk向けのMCPを呼び出し、複数のツール呼び出しを連鎖させながら、対象チケットや各コメントを取得しています。これにより、従来の静的なロジックによる制御から、エージェントによる動的なオーケストレーションへ移行できます。
なぜ重要なのか
お客様は、既存の投資をそのまま活かしながら、新たなコードを書くことなく、AIエージェントが利用できるスキルとして公開できます。
つまり、作り直しなしで、既存の統合資産をAI対応へ拡張できるということです。
Workato Dev APIをEnterprise MCPサーバーとして活用:どこからでもWorkatoを自動化する
Workato Developer APIをEnterprise MCPサーバーとして公開することで、開発者はClaude、Cursor、Windsurf、ClineなどのLLMツールや互換インターフェースから、Recipe、Project、EnvironmentといったWorkato資産を操作できるようになります。
なぜ重要なのか
これにより、開発者は自然言語エージェントを通じてWorkato自体を自動化・拡張できるようになります。
オートメーション開発とAIツール活用がつながり、よりシームレスな開発体験を実現できます。
さらに、Local MCPに対応することで、Workatoへのアクセスを必要な開発者に限定しつつ、APIトークンと連動した認可制御により、きめ細かなアクセス制御を適用できます。
これにより、誰が何をできるのかを明確に制御しながら、安全に利用範囲を広げることができます。
エンタープライズにおける意味:Workatoが支える次世代基盤
Workatoは、企業が従来のワークフロー中心の運用から、より動的でインテリジェントなAIエージェント中心の運用へ移行するために必要な基盤を整えています。
WorkatoのEnterprise MCP対応は、単なるAPI中心のプラットフォームから、AIエージェントを前提としたインフラへの進化を意味します。
MCPのようなオープンスタンダードに準拠することで、Workatoは次の価値を提供します。
- LLMプロバイダー、プラットフォーム、ツールをまたいだエージェント相互運用性
- 標準化されたインターフェースによる開発負荷の削減
- 既存資産をエージェントが呼び出せるスキルとして活用する迅速な再利用
- どのエージェントがどのツールへアクセスできるかを制御するエンタープライズ向けガバナンスとセキュリティ
これらを組み合わせることで、Workatoは、安全でスケーラブルかつ拡張性の高いエージェントエコシステムの基盤を形成します。しかも、それは単なる実験用ではなく、実際のビジネス成果につながる設計です。
ClaudeがWorkato Enterprise MCPを使ってSalesforceデータへ安全にアクセスし、エンタープライズワークフローを起動する様子もぜひご覧ください。カスタム統合は不要です。
GeniesがEnterprise MCPクライアントに
AIエージェントの接続先を広げる
WorkatoのGeniesは、自律的なワークフローを支えるAIエージェントです。
このGeniesが、今後はMCPクライアントとしても振る舞えるようになります。つまり、サードパーティや顧客ホスト型のMCPサーバーへ直接接続し、アクション実行、データ取得、ワークフロー起動が可能になります。
なぜ重要なのか
これにより、急速に拡大しているMCP互換サーバーのエコシステムへGeniesがアクセスできるようになります。追加開発なしで、より多くのシステムへ接続できるようになるのです。
たとえば、Intercom、Plaid、Stripeなどが提供するMCPサーバーへ接続すれば、それらの機能を即座にGeniesから利用できます。もちろん、利用時にはあらかじめ定義したGenies向けのアクセス制御が適用されます。
GeniesをEnterprise MCPサーバーとして公開:WorkatoのAIエージェントをあらゆる場所へ
GeniesそのものをMCPサーバーとして公開することも可能になります。
これにより、Claude、Cursor、その他のMCPクライアントから、外部エージェントがGeniesを呼び出し、エンタープライズ向けの自動化やオーケストレーションを実行できるようになります。
たとえば、Cursor上で開発者がInfra Genieへ話しかけ、追加のE2Eテストを実行したり、デプロイを起動したり、新しいリポジトリへのアクセスを申請したりできます。
また、Claude上でマーケティング担当者がCampaign Management Genieと連携し、キャンペーンの実行、過去実績の確認、追加アセットの依頼を行うことも可能です。
なぜ重要なのか
これによって、GeniesはWorkatoの中だけで完結する存在ではなくなります。
より広いAIエコシステムの中で動く参加者となり、Workatoが提供するスキルやワークフローを、あらゆるMCPクライアントから利用できるようになります。
まとめ:Workato + Enterprise MCPが実現するAI対応のエンタープライズオーケストレーション
オートメーションの未来は、エージェント型オートメーションです。
そして、その実現には知能だけでは足りません。必要なのは、アクセス、セキュリティ、そして相互運用性です。
Enterprise MCPによって、Workatoはあらゆる準拠サーバーやクライアントが、数千ものシステムへ接続し、既存のAPIコレクションを再利用し、ワークフローを起動し、安全にスケールできる世界を切り開きます。Geniesを使って構築する場合も、ClaudeやCursorと連携する場合も、ゼロから作り直す必要はありません。Workatoのプラットフォームこそが、現代のAIエージェントエコシステムをつなぐ中核となります。
本記事は、連載「AI at the Core」の第2回です。
今後も、組み込み型AIがどのようにチームの自動化構築、拡張、進化を変えていくのかを掘り下げていきます。
