<span styke="font-size:48px; font-weight:300;">Slackスマートアナウンスで年間250人日を半減——メルカリグループのWorkato活用とAIガバナンス戦略</span>

Slackスマートアナウンスで年間250人日を半減——メルカリグループのWorkato活用とAIガバナンス戦略

部門

IT/DX推進、全社展開

国と地域

東京都、日本

業種

情報・通信業、金融・決済事業

概要

メルカリグループでは、ガバナンスを保ちながら現場が自律的に使える全社統合自動化基盤としてWorkatoを様々なバックエンド業務で活用しています。加えて、AI領域の取り組みである「Slackスマートアナウンス」では、人事評価アナウンスだけで年間約250人日の工数を半減させました。全社で今までに200以上のレシピが7万件以上のタスクを処理する規模にまで拡大しています。さらに、Workato GenieによるAI活用とMCPゲートウェイ構想により、「ガバナンスを守りながら全社員がAIを安全に使える環境」の実現を目指しています。

Mercari Case Study Interviewees (Vertical)
Stat Block v2

ビジネス上の課題

約2,000人超の従業員を擁し、メルペイ・メルコイン・米国事業など複数のカンパニーを抱えるメルカリグループでは、急速な事業拡大の裏側で、3つの構造的な矛盾が深刻化していました。1つ目はバックオフィス業務でのスプレッドシートなどを使った手作業での管理による非効率さ、2つ目は社内アナウンス業務の慢性的な非効率、3つ目は自動化ツールの乱立によるガバナンス崩壊です。特に、部門単位で乱立していた複数の自動化ツールは、ログが管理者に提供されないケースや、パーミッションの範囲が広すぎて機密情報へのアクセスが制御しきれないケースを生んでおり、エンタープライズ水準のガバナンスが揺らいでいました。

個々の業務課題を解決しようとするほど、全体のガバナンスが崩れていく——この矛盾を解消する基盤が求められていました。

採用理由

複数ツールの評価において最重要基準として設定したのは、「ガバナンスを保ちながら現場が自律的に使い続けられるか」でした。最終的にWorkatoを全社統合基盤に選んだ理由は主に三点あります。

第一に、Slackとの高い親和性です。 全社員がデジタルワークプレースとして利用するSlack上で、アナウンス配信・リマインド送信・回答管理も含めた日常的な様々な業務をWorkbot for Slackによりシームレスに自動化できる点が高く評価されました。

第二に、エンタープライズ水準のガバナンス機能です。 バージョン管理・ログ管理・ガバナンス機能が一体で提供される点が決め手となりました。競合として検討された製品はアカウントプロビジョニングに特化し、別の製品は市民開発向けに適しておりエンタープライズ用途とは使い分ける必要があると判断されました。業務自動化・システム統合・AIオーケストレーションを単一プラットフォームで完結できる点が決定的な差でした。

第三に、ローコード・ノーコードでの開発容易性です。 メンバー間のスキル共通化とナレッジ蓄積が可能で、メンテナンスコストの削減にも貢献しています。

活用内容と導入効果

財務領域では、NetSuiteで生成した全銀フォーマットファイルをインターネットバンキングシステムへアップロードする作業の自動化により、年間80人日の工数削減を実現しました。

Workbot for Slackを基盤に独自構築した「Slackスマートアナウンス」は、配信・リマインド・回答管理を自動化しました。未回答者への自動リマインドを送信時刻まで設定できるようになり、担当者がスプレッドシートで集計・手動DMを送るという作業が不要になりました。結果としてアナウンス業務の工数は半分以下に圧縮されました。

大野氏の試算によれば、2,000人規模の人事評価アナウンスでは一連の処理だけで約30,000分(500時間)、約62人日の工数が発生します。これが四半期に一度繰り返されるため、このアナウンス業務だけで年間約250人日が消費されていた計算になります。

田中氏はこう語っています。「Slackスマートアナウンスができたことによって、幅広く誰もが使える工数削減ツールを提供できたことは大きな一歩でした。リマインドや管理の手間が無限にかかっていたのを削減することができるようになりました。」

現在は200以上のレシピが稼働し、7万件以上のタスクが自動実行されています。特に財務領域については数字だけでなく、Workatoを導入して業務の質そのものが変わったと現場から声が上がっています。

さらに多様な情報ニーズに対応すべく、Workato Genie(ガードレールの範囲内でLLMが自律的に判断・実行するAIエージェント)を導入しました。担当者がSlack上で「この部署の回答率は何%?」と問いかけるだけで、AIが既存DBを参照して即時回答する仕組みを構築しています。大野氏は「ユーザーの多様なニーズをすべて予測して実装する必要がなくなった」と、開発者側の工数削減効果も強調しています。

Mercari Graphic 1 (final)

今後の展望

メルカリグループは現在、WorkatoをMCPゲートウェイとして活用する次のステージを検討しています。CEO・山田進太郎氏が「AIを導入する企業ではなく、AIを前提に再設計された組織になる」と宣言して以降、社内でのAIツール活用は急速に広がっています。エンジニアはもちろんのこと非エンジニアでもClaude CodeやCursorをMCPクライアントとして利用する社員が増える一方、MCPサーバーのログが管理者に見えない・スコープやロールの細かな制御ができないといったガバナンス上のリスクも顕在化してきました。

「MCPは使わせない」のではなく「安全に使わせる」仕組みを整えることが求められる中、Workatoはすでに社内で信頼を築いたプラットフォームとして、MCPゲートウェイへの拡張候補として浮上しています。

大野氏はこう述べています。「Workatoは単なる自動化ツールではなく、私たちがAI-Nativeな組織になっていくための基盤です。ガバナンスを守りながら現場がAIを安全に使える環境を作ること——それが私たちIT部門の役割であり、Workatoはその実現を支える中核です。」

効率化から統合へ、統合からAIオーケストレーションへ。メルカリグループの変革は、まだ途上にあります。

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