Banking as a Service(BaaS)完全ガイド

仕組み・メリット・課題をわかりやすく解説

Stylized graphic of a bank

なぜ小売アプリがデビットカードを発行できるのか。
なぜマーケットプレイスが即時に出品者へ支払いできるのか。
しかも銀行にならずにそれを実現できるのはなぜか。

その答えが、Banking as a Service(BaaS)です。

本記事では、Banking as a Serviceの仕組み、重要性、動作方法、ベストプラクティス、そしてよくある課題について解説します。BaaSを活用したサービス構築を検討している方にとって、本記事は出発点となるガイドです。

それでは見ていきましょう。

Banking as a Serviceとは

Banking as a Service(BaaS)とは、銀行が口座、カード、決済、コンプライアンスなどの金融機能をAPIとして提供し、銀行以外の企業が自社サービスに金融機能を組み込めるようにするサービスモデルです。

イメージとしては、ソフトウェア開発チームが利用できる「銀行機能のレゴブロック」です。

簡単に言えば、BaaSを使うことで、第三者企業が銀行のインフラやライセンスの上に金融サービスを構築できます。

「それってEmbedded Financeでは?」と思った方は、その通りです。
BaaSはEmbedded Financeと非常に近い概念です。

Embedded Financeは、金融サービスを金融以外のサービスの中に組み込むという大きなトレンドを指します。McKinseyによると、Embedded Financeでは、金融サービスの提供主体とリスクを負う主体の双方が価値を獲得する構造になります。

例えばEmbedded Lendingでは、米国の収益の半分以上がバランスシートを持つ金融機関側に帰属しています。つまり銀行や与信機関は依然として非常に重要な役割を担っています。

Embedded Financeの進化

数年前までEmbedded Financeは「ワンクリック決済」程度の意味合いでした。

現在では、プラットフォームがウォレットを提供し、ブランドがカードを発行し、B2B SaaSが運転資金を提供し、クリエイターが即時支払いを受け取るなど、金融機能はあらゆるサービスに組み込まれています。

規制当局もこの変化に注目しています。米国の銀行規制当局は、銀行とFintechの提携における第三者リスク管理について繰り返し注意喚起を行っています。

つまり、BaaS製品を構築する場合、より規制の厳しい業界で事業を行うことになります。これは顧客にとっては良いことですが、開発側にとっては複雑さが増すことを意味します。

BaaSが解決するビジネス課題

Banking as a Serviceが急速に注目されている理由は明確です。BaaS市場は2021年に約196億ドル規模でしたが、2030年には約750億ドルに達すると予測されています。

その理由は次のとおりです。

迅速なオンボーディングと収益化

銀行になることなく、カード、口座、決済などの金融機能を既存のユーザー基盤に提供し、新しい収益源を作ることができます。

優れたユーザー体験

銀行は新しいUXへの対応が遅いことが多いため、企業側がよりモダンで直感的な金融体験を提供できます。

データ活用

決済データや口座データを活用することで、より精度の高いリスクモデル、ロイヤルティプログラム、ライフサイクルマーケティングを実現できます。

差別化

統合された支払いやクレジット機能を持つVertical SaaSは、単なるツールよりも大きな価値を提供できます。

Banking as a Serviceの仕組み

BaaSソリューションは、主に次の3者で構成されます。

  1. スポンサーバンク
  2. BaaS APIプラットフォーム
  3. 自社プロダクト

スポンサーバンク

実際の金融取引を行う金融機関です。ライセンス、規制対応、リスク管理を担います。

BaaS APIプラットフォーム

銀行機能をAPIとして提供するレイヤーです。オンボーディング、KYC/KYB、口座、カード、決済などの機能をAPIで提供します。

自社プロダクト

ユーザーが利用するアプリケーションと、BaaS APIと通信するバックエンドシステムです。

新規ユーザーの一般的な流れ

  1. ユーザー登録
  2. KYC/KYBによる本人確認
  3. 口座開設またはカード発行
  4. ACH、送金、カード決済などによる資金移動
  5. 継続的なコンプライアンスとモニタリング

重要なポイントは、規制当局は提携全体を責任主体として扱うという点です。銀行はプログラムリスクを管理する必要があり、すべてのプロセスは厳格な統制に従う必要があります。

Banking as a Serviceの主なユースケース

現在の代表的なBaaSユースケースは次のとおりです。

  • ウォレット・残高管理
  • カード発行
  • サブアカウント管理
  • 決済オーケストレーション
  • 融資・運転資金提供
  • 資金管理・トレジャリー自動化

金融サービスは常に高い規制とリスクが伴う領域であることを忘れてはいけません。

Banking as a Serviceのベストプラクティス

BaaSを成功させるには、いくつかの重要なベストプラクティスがあります。

1. 台帳(Ledger)を最重要資産として扱う

BaaSプロバイダーの残高と一致する内部台帳を維持し、頻繁に照合し、変更履歴を保持することが重要です。

2. 冪等性を標準にする

すべての書き込み処理で冪等キーを使用し、Webhookは必ず一度だけ処理されるように設計します。

3. 可観測なパイプラインを構築する

ログ、トレース、アラートを集中管理し、Webhook失敗や照合エラーなどを監視します。

4. 職務分離を徹底する

本番キー、支払い承認、限度額変更などは必ず複数人承認にします。

5. 銀行とBaaSパートナーとダッシュボードを共有する

SLA、不正指標、紛争、プログラム健全性などを共有し、透明性を保ちます。

6. Workatoで業務を自動化する

Workatoを使ってオンボーディング、チケット管理、不正アラート、財務連携などを自動化することで、業務の一貫性を高められます。

課題と規制リスク

BaaSを成功させるには、課題とリスクも理解しておく必要があります。

  • 第三者リスク
  • KYC/KYBと制裁チェック
  • 不正とチャージバック
  • プログラム変更
  • データプライバシー
  • 経済的リスク

銀行やBaaSパートナーの知見を活用し、規制ガイドラインをチェックリストとして活用し、Workatoで業務システムを連携させることで、オンボーディング、リスク管理、財務、CXを同期できます。

Banking as a Serviceを始めるには

BaaSは銀行機能をソフトウェア機能として提供できるようにします。これは大きなチャンスですが、同時に高い運用能力と責任も求められます。

適切な台帳設計、冪等性のある処理、自動化された運用を構築すれば、トラブル対応ではなく価値創出に集中できます。ここでWorkatoが大きな役割を果たします。

次のステップ

  • スポンサーバンクとのRACIを定義する
  • コアフローのプロトタイプを作成する
  • Workatoでオンボーディング、リスクアラート、財務照合の自動化を構築する

WorkatoがどのようにBaaSプログラムを支援できるか、ぜひ詳細をご確認ください。