多くの企業では、「統合と自動化の戦略」とは単に技術プラットフォームを選定することだと考えられています。しかし、実際にはそれほど単純なものではありません。
効果的な統合・自動化戦略は、大きく2つの要素から構成されます。
1つ目は、統合および自動化ツールを導入し、共通プラットフォームとして提供するテクノロジー戦略。
2つ目は、ガバナンスや支援体制を整備し、アプリケーションチームや業務部門が安全かつ効率的に自ら統合・自動化を実装できるようにするオペレーティングモデルです。
ここでは、スケーラブルで高い成果を生み出す統合・自動化戦略を実現するために、それぞれの要素について詳しく見ていきます。
共通の統合・自動化プラットフォームを提供する
統合と自動化は、企業内のさまざまなユースケースに対応できます。
例えば:
- アプリケーション間でデータを連携するためのアプリケーション統合
- BIや分析のためのデータ統合
- 既存業務を効率化するためのRPA
- 取引先とのB2B連携
これらのユースケースに対応するには、複数の統合・自動化ツールを組み合わせる必要があります。
しかし重要なのは、これらのツールを個別のツールとしてではなく、1つのプラットフォームとして設計・運用・監視・提供することです。
理想的には、この統合・自動化プラットフォームは、企業内の認可されたユーザーがセルフサービス形式で利用できる共有サービスとして提供されるべきです。
共有統合・自動化プラットフォームの構成要素
この共通基盤は、以下のようなさまざまなユーザーが利用できる必要があります:
- 開発者
- SaaS管理者
- 業務部門ユーザー
- 非技術者ユーザー

さらに、ガバナンス、セキュリティ、運用管理を実現するための機能も必要です。
このような共有プラットフォームを実現するためには、
ツール選定、導入、運用、管理を行う専門チームが必要になります。
関連記事:ソフトウェア統合とは?まず押さえておきたい基礎知識
統合・自動化戦略チームを設立する
従来、多くの企業の統合・自動化チームは次の2つを担当していました:
- 統合・自動化戦略の策定
- 各部門の代わりに統合・自動化プロジェクトを実装
しかし、先進的な企業では、このチームの役割が変化しています。
現在は、実装よりも以下に重点が置かれています:
- ガバナンス
- イネーブルメント(教育・支援)
- サポート
- ベストプラクティスの整備
つまり、各チームや業務部門が自ら統合・自動化を実装できるように支援する組織へと変化しています。
この戦略チームは、さまざまな役割の人々と連携します:
- 各部門の統合担当者
- アプリケーション開発者
- SaaS管理者
- ビジネステクノロジスト
統合・自動化戦略を設計する
テクノロジーや組織体制に投資する前に、
まず自社に最適な統合・自動化戦略を定義する必要があります。
戦略を定義する際には、次の項目を順番に検討するとよいでしょう。
1. ビジネス目標
自動化は以下のようなビジネス価値をもたらします:
- 業務効率化
- 顧客体験向上
- アジリティ向上
- リアルタイムデータ活用
- イノベーション
もし目的が効率化だけであれば、外部SIに任せる方法もあります。
しかしイノベーションを重視する場合は、社内で統合・自動化を実装する分散モデルが適しています。
2. シナリオとユースケース
次に、対象となるユースケースを整理します:
- アプリケーション統合
- 業務プロセス自動化
- モバイルアプリ連携
- API
- B2B統合
3. 非機能要件
以下の観点から要件を定義します:
- スケーラビリティ
- 可用性
- 信頼性
- SLA
- セキュリティ
- コンプライアンス
アジリティやイノベーションを重視するほど、分散型のデリバリーモデルが適しています。
4. デリバリーモデル、ガバナンス、スキル
効率性を重視する場合は中央集権モデル、
俊敏性やイノベーションを重視する場合は分散モデルが適しています。
5. アーキテクチャと技術プラットフォーム
機能要件・非機能要件・デリバリーモデルを満たす技術を選定します。
また、プラットフォームの重複や不足が発生しないようにすることも重要です。
ビジネスユーザーによる自動化を推進する場合は、
市民開発者(Citizen Integrator / Citizen Automator)を支援できるプラットフォームが必要になります。
戦略設計は一度で終わらない
統合・自動化戦略の設計は一度で終わるものではありません。
ビジネス目標、技術、市場環境の変化に合わせて、
定期的(年1回または2回)に見直す必要があります。
ぜひ、ここで紹介した項目をもとに、自社の統合・自動化戦略を整理してみてください。
