企業は、ビジネスの成長や競争力維持のために、重要なテクノロジー導入プロジェクトに取り組む必要があります。これらのプロジェクトは多くの場合、期限が厳しく、事業にとって重要な取り組みになります。
こうしたプロジェクトを社内リソースだけで進めるのが難しい場合に活用されるのが、システムインテグレーター(SI)です。
システムインテグレーターと連携することで、ソフトウェア導入やシステム連携、ワークフロー自動化などの技術プロジェクトを効率的に進めることができます。
本記事では、システムインテグレーターの役割、活用するメリット、そして代表的なSI企業について解説します。
システムインテグレーターの定義
システムインテグレーターとは、複数のベンダーが提供するハードウェアやソフトウェア、サブシステムを組み合わせて、より高度で機能的なシステムを構築するパートナーです。
SIは企業のテクノロジープロジェクトを支援します。例えば次のような取り組みです。
- ソフトウェアの導入や刷新
- アプリケーション統合
- ワークフロー自動化の構築
こうした幅広い業務を担うため、SIにはさまざまな専門職が在籍しています。代表的な役割としては、エンタープライズアーキテクト、アプリケーション管理者、ビジネスアナリスト、インテグレーションエンジニアなどが挙げられます。
システムインテグレーション技術は、1970年代にEDI(Electronic Data Interchange)などの技術が登場したことで発展しました。EDIは企業間で重要なドキュメントを電子的に交換する仕組みです。
1980年代から1990年代にかけて、企業がITシステムの統合を求めるようになり、SI市場は大きく拡大しました。1994年にはSI企業によってControl Systems Integrators Association(CSIA)が設立されています。
システムインテグレーターは、オンプレミス環境のITシステムを管理・最適化するうえでも重要な役割を担っています。例えば、サーバー、データベース、アプリケーションを接続し、データ共有を可能にします。
企業アプリケーション統合(EAI)では、企業のアプリケーションやデータベース、サービスを接続し、リアルタイムで情報をやり取りできる環境を構築します。
また、オンプレミスのレガシーシステムを利用している企業に対しても、クラウド技術と連携できるようにすることで、既存システムの価値を維持しながらモダナイズを支援します。
システムインテグレーターの例
SI企業は、規模や専門分野、地域などによってさまざまな種類があります。代表的な例をいくつか紹介します。
大規模グローバルSI企業
幅広いITサービスを提供する国際的な企業です。
例
特定分野に特化したSI企業
特定の業界や領域にフォーカスしたSIです。
例
- Connor Group(金融分野)
- Dispatch Integration(HR分野)
- Elad CRM(GTM分野)
地域特化型SI企業
特定の地域市場に特化したSIです。
例
- Wipro(インド)
- Atos(ヨーロッパ)
- Dimension Data(アフリカ)
- NTT DATA(日本)
- Softtek(ラテンアメリカ)
アプリケーションモダナイゼーションSI
レガシーシステムと最新アプリケーションの統合に特化しています。
例
- Rocket Software
- OpenLegacy
エンタープライズアプリケーション統合(EAI)企業
例
- TIBCO
- Informatica
- InterSystems
- WSO2
EDI統合企業
例
- TrueCommerce
- Cleo
- DiCentral
- OpenText
- SPS Commerce
関連記事:ITモダナイゼーションの事例(英語)
システムインテグレーターの主な活用シーン
ここでは、SIが企業をどのように支援するのかを具体的に見ていきます。
アプリケーション導入
企業がSIと連携する最も一般的な理由の一つが、新しいアプリケーションの導入です。
社内に必要な専門知識やリソースが不足している場合、SIが導入プロジェクトを支援します。
一般的な導入プロセスは次のようになります。
まず、アプリケーションに関するビジネス要件を整理します。
ここでは、必要なデータ項目や業務プロセス、導入目的などを明確にします。
次に、業務プロセスの設計、システム設定、環境構築を行い、テスト環境で実装を進めます。その後、本番環境へ展開します。
導入後は、ユーザー教育を実施し、社内での活用を促進します。
なお、多くのビジネスプロセスは単一のアプリケーションで完結するわけではありません。複数のチームやシステムをまたぐケースが一般的です。
そのためSIは、次のような方法でアプリケーション間のデータ連携を設計します。
- API連携
- ファイル連携
- スクリーンスクレイピング
さらに、必要に応じてiPaaSなどの統合ツールを選定し、システム統合を実装します。
アプリケーション移行
SIは、システム移行プロジェクトも支援します。
例えば、あるアプリケーションから別のシステムへ移行する場合、次のような作業が必要になります。
- 既存システムからデータを抽出
- 新システムの形式に合わせてデータ変換
- 新システムへデータを移行
このプロセスでは、データマッピングや変換テーブルなどが利用されます。
関連記事:ハイブリッド統合プラットフォームの活用方法(英語)
システムインテグレーターのビジネスモデル
SI企業は主に次の方法で案件を獲得します。
自社で案件を獲得する
展示会参加、デジタル広告、営業活動などを通じて企業へ直接提案します。
ベンダーとのパートナー連携
ソフトウェアベンダーの営業チームやカスタマーサクセスチームがSIを紹介するケースです。また、パートナーディレクトリ経由で顧客がSIに問い合わせることもあります。
多くのベンダーは、SIパートナーに対して次の条件を求めます。
- 特定分野の専門性
- 一定規模の企業規模
- 販売目標の達成
パートナーとして認定されると、SIは次のような支援を受けることができます。
- 共同マーケティング
- トレーニング
- 経営層へのアクセス
システムインテグレーターの役割はどう進化しているか
SIは従来、異なるベンダーのITシステムを統合し、ITリソースを管理する役割を担ってきました。
しかし現在では、その役割はさらに広がっています。
例えば、統合されたシステムを利用するエンドユーザーの体験を最適化することも重要な役割となっています。
また、顧客企業に代わってITベンダーとの契約交渉や関係管理を行うケースもあります。
従来のSIは顧客ごとにカスタムシステムを構築することが一般的でしたが、現在はよりスケーラブルなソリューションの提供へと移行しています。
さらに、次のようなサービスも提供されています。
- リモート管理
- 保守契約
- ソフトウェアライセンス管理
- 高度なデータ分析
- ビジネスプロセス統合
システムインテグレーターが重要な理由
SIと連携することで、企業はさまざまなメリットを得ることができます。
1. 専門知識を活用できる
例えば、ある企業が新しいシステムへ移行する場合を考えてみましょう。
社内には既存システムに詳しい担当者がいても、新システムの知識が十分でない場合があります。
その場合、社内だけで移行を進めると時間がかかり、導入品質も下がる可能性があります。
SIは多くの企業で同様のプロジェクトを経験しているため、ベストプラクティスや注意点を理解しています。
これはテクノロジーだけでなく、業務プロセスの設計にも当てはまります。
関連記事:iPaaSを活用するメリット
2. 社員が本来の業務に集中できる
社内のIT担当者は、すでに多くの重要業務を抱えていることが多いです。
そこに大規模なITプロジェクトが加わると、負担が大きくなります。
SIは追加リソースとしてプロジェクトを支援することで、社員の負担を軽減します。
3. 柔軟性とコスト削減
高額な専門人材を常に雇用する代わりに、必要なときだけSIを活用することができます。
これによりコストを抑えながら、専門性の高いプロジェクトを進めることができます。
また、プロジェクトごとにSIを選び直すことも可能です。
4. データ品質の改善
システム統合において、データ品質は非常に重要です。
SIはデータマッピングを行い、複数のシステムのデータを統合します。
さらに、次のような処理を行います。
- データ形式の標準化
- データ検証
- データ補完
一部のSIはAIや機械学習を活用し、データ検証を自動化しています。
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システムインテグレーターFAQ
VARとSIの違いは?
VAR(Value Added Reseller)は主に製品販売を中心とするビジネスモデルです。
一方、SIは主に技術サービスや導入支援を提供します。
システムインテグレーターになるには?
明確なルールはありませんが、次のような方法があります。
- コンピュータサイエンスなど技術分野の学位を取得する
- 統合や自動化プラットフォームのベンダー認定資格を取得する
SIを評価する際のポイントは?
次の観点を確認するとよいでしょう。
- 顧客実績
- 専門分野
- 経営チーム
- レビューサイトの評価
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